イエスはペレアで，「多おおくの最さい初しょの人ひとたちが最さい後ごに，最さい後ごの人ひとたちが最さい初しょになります」と教おしえました。（マタイ 19:30）それから，その点てんを裏うら付づけるため，ブドウ園えんの労ろう働どう者しゃの例たとえ話ばなしを始はじめます。

「天てんの王おう国こくは，ある家いえの主しゅ人じんのよう……です。主しゅ人じんは，ブドウ園えんの労ろう働どう者しゃを雇やとうために朝あさ早はやく出で掛かけました。労ろう働どう者しゃたちと1日にち1デナリで合ごう意いし，ブドウ園えんに行いかせました。午ご前ぜん9時じごろにも出で掛かけると，仕し事ごとがなくて広ひろ場ばに立たっている人ひとたちがいました。そこで，『あなたたちもブドウ園えんに行いきなさい。相そう応おうの賃ちん金ぎんを払はらいます』と言いいました。それでその人ひとたちは行いきました。主しゅ人じんは昼ひるの12時じごろと午ご後ご3時じごろにも出で掛かけて，同おなじようにしました。最さい後ごに，午ご後ご5時じごろに出で掛かけて，ほかにも立たっている人ひとたちを見みつけ，言いいました。『なぜ仕し事ごとをしないで一いち日にち中じゅうここに立たっていたのですか』。その人ひとたちは言いいました。『誰だれも雇やとってくれなかったからです』。主しゅ人じんは言いいました。『あなたたちもブドウ園えんに行いきなさい』」。（マタイ 20:1-7）

この話はなしを聞きいていた人ひと々びとは，「天てんの王おう国こく」や「家いえの主しゅ人じん」という言こと葉ばを聞きいてエホバ神かみについて考かんがえたことでしょう。聖せい書しょではブドウ園えんの所しょ有ゆう者しゃはエホバを表あらわしているからです。ブドウ園えんとはイスラエル国こく民みんのことでした。（詩し編へん 80:8，9。イザヤ 5:3，4）イエスの話はなしでは，律りっ法ぽう契けい約やくに入はいっている人ひとたちがブドウ園えんの労ろう働どう者しゃに例たとえられています。しかしイエスが語かたっているのは，過か去こではなく，その当とう時じの状じょう況きょうです。

離り婚こんの問もん題だいについてイエスを試ためそうとしたパリサイ派はのような宗しゅう教きょう指し導どう者しゃたちは，神かみへの崇すう拝はいのために働はたらき続つづけていると見みなされています。ですから，丸まる1日にち働はたらいて1デナリの賃ちん金ぎんを期き待たいしている労ろう働どう者しゃのようです。

そのような宗しゅう教きょう指し導どう者しゃたちは一いっ般ぱんのユダヤ人じんを，ブドウ園えんで短たん時じ間かんだけ働はたらく労ろう働どう者しゃのように，神かみにそれほど奉ほう仕ししていない人ひとたちと見みています。イエスの例たとえ話ばなしではそれらの人ひとたちは朝あさの9時じごろ，昼ひるの12時じごろ，午ご後ご3時じごろ，午ご後ご5時じごろに雇やとわれた人ひとたちです。

イエスに従したがう人ひと々びとは，「神かみに見み放はなされている」と見みなされています。（ヨハネ 7:49）漁りょう師しなどの仕し事ごとをしてきた人ひとたちです。しかし，西せい暦れき29年ねんの秋あきに「ブドウ園えんの主しゅ人じん」はイエスを遣つかわし，そのような立たち場ばの低ひくい人ひとたちに，弟で子しとなって神かみのために働はたらくよう呼よび掛かけました。彼かれらはイエスが述のべた「最さい後ごの人ひとたち」であり，午ご後ご5時じごろブドウ園えんに雇やとわれた人ひとに当あたります。

イエスはこの例たとえ話ばなしの最さい後ごで，1日にちの終おわりごろのことを説せつ明めいします。「夕ゆう方がたになった時とき，ブドウ園えんの主しゅ人じんは責せき任にん者しゃに言いいました。『労ろう働どう者しゃたちを呼よんで，賃ちん金ぎんを払はらいなさい。最さい後ごの人ひとから順じゅんに最さい初しょの人ひとまでです』。午ご後ご5時じの人ひとたちが来きて，それぞれ1デナリを受うけ取とりました。それで，最さい初しょの人ひとたちは来きた時とき，もっと受うけ取とれると考かんがえましたが，やはり1デナリずつでした。それを受うけ取とると，家いえの主しゅ人じんに文もん句くを言いい始はじめ，『この最さい後ごの人ひとたちは1時じ間かん働はたらいただけです。それなのに，焼やけ付つく暑あつさの中なかで一いち日にち中じゅう働はたらいた私わたしたちと同おなじ扱あつかいなのですか！』と言いいました。しかし主しゅ人じんはその1人ひとりに言いいました。『あなたに不ふ当とうなことは何なにもしていません。1デナリで合ごう意いしたではありませんか。自じ分ぶんの分ぶんを受うけ取とって，行いきなさい。この最さい後ごの人ひとにもあなたと同おなじように与あたえたいのです。私わたしは自じ分ぶんのもので望のぞむことをしてもいいのではありませんか。それとも，私わたしが善ぜん良りょうなので，あなたはねたむのですか』。このように，最さい後ごの人ひとたちが最さい初しょに，最さい初しょの人ひとたちが最さい後ごになります」。（マタイ 20:8-16）

弟で子したちはその言こと葉ばの意い味みを知しりたいと思おもったこと でしょう。自じ分ぶんのことを「最さい初しょの人ひとたち」と考かんがえていたユダヤ人じんの宗しゅう教きょう指し導どう者しゃたちは，どのようにして「最さい後ご」になるのでしょうか。イエスの弟で子したちは，どのようにして「最さい初しょ」になるのでしょうか。

イエスの弟で子したちは宗しゅう教きょう指し導どう者しゃたちから「最さい後ごの人ひとたち」と見みられていましたが，1日にち分ぶんの賃ちん金ぎんを受うけ取とることにより「最さい初しょ」になります。神かみはイエスの死しとともにイスラエル国こく民みんを捨すて，新あたらしい国こく民みんとして「神かみのイスラエル」を選えらびます。それは大おおきな変へん化かでした。（ガラテア 6:16。マタイ 23:38）バプテストのヨハネも，聖せい霊れいによるバプテスマについて述のべた時ときに，新あたらしい「神かみのイスラエル」となる人ひとたちのことに触ふれました。「最さい後ごの人ひとたち」が最さい初しょになったのは，彼かれらが聖せい霊れいによるバプテスマを受うけ，「地ち上じょうの最もっとも遠とおい所ところにまで」イエスの証しょう人にんになるという特とく別べつな仕し事ごとを与あたえられた時ときです。（使し徒と 1:5，8。マタイ 3:11）イエスが述のべた大おおきな変へん化かの意い味みを理り解かいした弟で子したちは，「最さい後ご」になった宗しゅう教きょう指し導どう者しゃたちからの激はげしい反はん対たいを予よ期きしたことでしょう。